2004年 10月 05日
華氏911 |
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母とヴェトナムアリスで腹ごしらえしてから、
銀座テアトルシネマで【華氏911】を観てきた。
大雨のうえ、平日昼の回だというのに、それなりに混んでいた。
秋らしい色調の素敵な和服姿の老女2人組や、老夫婦など、
ムーアとは程遠い雰囲気の漂う客層なのが、興味深かった。
マイケル・ムーアのファンになったのは、【ボーリング・フォー・コロンバイン】。
そしてさらに、アカデミー授賞式の、あの発言。
ニコール・キッドマンのスピーチも、エイドリアン・ブロディのスピーチも
感動的だったけれど、やはり正面切って反戦を表明したのは、
ムーアだけだった・・・。あの、スーザン・サランドン&ティム・ロビンスでさえ
ピースするに留めていたというのに。
ムーアの「ブッシュよ、恥を知れ!」発言は、
生中継で観ていただけに、同時通訳の人が狼狽しながら訳しているのに
驚いたと同時に、よくぞ言ってくれた!とスカッとしたのを覚えている。
保守的なアメリカにおいて、保守的なアカデミー会員の前で、
あんなメッセージを言ってのける、すごいなぁムーア。
と前置きが長くなってしまったが、本題の、【華氏911】。
今年の初夏はラッキーにもカンヌ映画祭の会場へ足を踏み入れることが出来た。
フランスにおいても人気者のムーア、毎晩現地のTVに出ていた。
しかも、今年はタランティーノが審査委員長。
何かあるとは思っていたけれど、まさかパルムドールとは。
ドキュメンタリー、しかも痛烈なブッシュ批判のこの映画が
グランプリをとるとは思っていなかっただけに驚いた。
映画は、場面のひとつひとつが、ドキュメンタリーの形をとりながら、
ムーア独特のユーモアによってコラージュされていく。
テンポよくすすむ、つなぎ合わされた面白い映像を楽しみながら、
わたしたちはムーアの目を通して見るアメリカの姿に釘付けになった。
そして、気がつくと、ポロポロ涙が零れ落ちていた。
印象的だったのは、
「人を殺すたびに、自分の中の細胞がひとつずつ死んでいく」
という米兵の言葉。
映画を観終わって・・・
まず”映画として単純に面白い”。
ムーア自身も言っているように、これは楽しむ映画。
マイケル・ムーアを通してニュースを観たという感覚。
ただひとつ真実といえるのは、
肉親をなくし、神にすがるイラクのおばさんの悲しみも
息子をなくし、これは決して芝居ではない現実なのだと訴える
愛国主義のアメリカのおばさんの悲しみも
この戦争によってもたらされたということ。
平和ってそんなに難しいこと?
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by porenar
| 2004-10-05 20:14
| film