2004年 09月 18日
大地の子 |
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【大地の子】を読み終えた。
全4巻と知らず、3巻までしか手に入れていなかったため、
かなり歯がゆい思いをした。書店を4,5軒探し歩き、
やっとのことで、最後まで読むことが出来ただけに、感動もひとしおだ。
まず、山崎豊子の取材力には脱帽だ。
【沈まぬ太陽】のときもそうだったけれど、よくぞここまで!
というギリギリのラインまで食い込んでいく。
読みながら、こんなに書いてしまって大丈夫なのかな?と余計な心配をしたくなるくらい。
陸一心の人生を通して、わたしたち日本人が戦時中の中国において、
いかなることをしてきたか、そして戦後、いかなる扱いを受けてきたか、
辛く痛いほど、伝わってくる。
どんな地獄より酷い文革期において、
一心はその誠実な人柄から、多くの人の愛に守られて、生き続けることが出来た。
心身ともに極限状態に追い詰められても、
さまざまな困難に屈することなく、自分を決して見失わずにいられったのは、
義父の陸徳志の尊い志が、最後の望みとして、一心を支えていたからだ。
さらに運命に翻弄されるかのごとく、偶然再会した実父の松本。
彼もまた人格者で、尊敬に値する人物だった。
そんなふたりの父の狭間で一心は強く動揺し、揺れ動きながらも
「大地の子」として中国人として生きていこうと決断する。
それを伝えたときの、松本と一心の気持ちを考えると胸が詰まる思いだった。
この壮大な物語は、涙なしに読むことが出来なかった。
戦争が生み出した悲劇、惨劇。そして何物にも代えがたい尊い出会い。
中国残留孤児の方々の、筆舌尽くしがたい並々ならぬ苦労。
教科書では決して学ぶことのできない、本物の歴史の数々。
どんな状況下においても、決して侵されることのない人の心、信念。
この本はわたしの人生の糧となった。
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by porenar
| 2004-09-18 09:52
| livre